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2026/02/23

【弁護士コラム・刑事事件④】在宅事件の基本

【弁護士コラム・刑事事件④】在宅事件の基本

 

<はじめに>

 刑事事件に関するご相談を受けていると、意外と「在宅事件」を知らない人は多いです。刑事事件では被疑者は必ずしも逮捕・勾留される訳ではなく、刑事訴訟法の要件を満たした場合にのみ逮捕・勾留がされます。逮捕・勾留の注意点は色々な所で解説されており、一般の方でも何となくイメージができるかと思います。

 他方で、在宅事件については、身柄事件に比べて緊急性が低く、また、逮捕・勾留のように期間制限もないため説明される機会は少ないかと思います。このコラムでは在宅事件の基本的な事項を説明します。

 

<在宅事件になる場合とは>

 在宅事件になる場合とは、逮捕・勾留の要件を満たさないということです。すなわち、被疑者に関して罪証隠滅の恐れや逃亡の恐れがないと判断されれば、身体拘束をする必要はありませんので、在宅事件となります。

 在宅事件のメリットは、言うまでもなく身体拘束をされないという点です。

 身柄事件では留置場や拘置所に入れられてしまい、自由に面会をすることもできませんが、在宅事件では捜査期間中であっても学校や仕事に行くことができますしプライベートな時間も確保することができます。

 

<注意点>

 在宅事件には基本的にデメリットはありません。強いて注意点を挙げるとすれば、捜査の期間が長くなる可能性があるという点です。

 刑事訴訟法が逮捕・勾留の期間を制限しているのは、証拠収集のために被疑者の身体拘束の期間が不当に長くなることを防ぐためです。在宅事件では、被疑者が身体拘束されている訳ではありませんので、捜査機関としても証拠収集に時間をかけることができます。(捜査機関は、膨大な事件を同時並行で処理しますので、どうしても1件あたりにかけることができる時間は限られます。)そうなると、被疑者は普段の生活を送ることができ、警察からの連絡も少ないため危機感がなくなり油断してしまう方が多いです。

 しかし、在宅事件でも、検察官に起訴されてしまえば刑事裁判を受けなければなりませんし、有罪の判決が出されることもあります。在宅事件だからといって罪が軽くなる訳ではありませんので、誤解のないようにしてください。

 

 また、勾留されている被疑者には捜査期間中に国選弁護人が付きますが、在宅事件では捜査期間中に国選弁護人が付きません。弁護人がいない状態では、被害者と示談交渉したくても連絡先を知ることすらできません。示談が成立しているかどうかは、不起訴や刑の減軽に大きな影響を与えます。したがって、被害者がいる在宅事件では、被害者と示談交渉をするために弁護人を付けることが重要となります。

 

<おわりに>

 「被疑者は普段の生活を送ることができ、警察からの連絡も少ないため危機感がなくなり油断してしまう方が多いです。」とは言いましたが、逆に、警察からの連絡がないので、これからどうなるのか分からず不安になってしまう人もいます。また、被疑者本人よりも、被疑者の家族の方が心配している印象があります。刑事事件では被疑者側から「「早く処分を決めてくれ」と要求することはできませんので、同居する家族としては不安な日々が続いて精神的に疲弊してしまうこともあります。

 刑事事件のことをむやみに他人に話すことはなかなかできません。自分一人で抱え込むのではなく、早めに弁護士に法律相談をすれば気持ちが楽になることもあるので、ぜひ弁護人の依頼を検討してみてください。

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